東武トップツアーズ株式会社様
未来志向で社員の考える力を養い、人間力・提案力で成長する
東武トップツアーズ株式会社
代表取締役 社長執行役員
百木田 康二様
百木田 康二社長
エアプラス聞き手:代表取締役 岡田 健
百木田社長 弊社を取り囲む環境は過去とは大きく変わってきました。人手不足が背景にあるのは間違いないですが、その一方で時間外労働も減らさなければなりません。より生産性の高い運用が求められるようになりました。お客様との関係性においては、一人の担当者が一気通貫で案件管理をするのが弊社の強みです。初期提案から、企画書作り、受注、添乗、精算など同じ担当者が行い、顧客との関係性を強め次回に繋げてゆくのです。ただ、バックエンド業務まで完全内製化が良いかと言えば、それは誤解です。内製と外注のいいとこ取りをすべきとの考えから、弊社でもパケットシェアリングを導入したというのが経緯です。ただ、未だに外注に対する抵抗感が社内には根強いことも事実です。本来は、外注化によりアイディア出しなどにもっと時間を使ってもらいたいのですが、現場は少しでも収益を残さなければならないという考えが先に立ち、内製で済まそうと考える癖があるようです。経営としては、もっと顧客との関係性のところに時間を使わせたいと考えています。
百木田社長 当社内でも、利用させてもらっている支店とそうでもない箇所には未だ偏りがあるようにお見受けします。社員が実際にパケットシェアリングを利用してみて、初めて効果を実感できるものだと思うので先ずは使って試してもらいたいですね。以前に関西エリアの支店でお願いしたがあまり良い成果が出せず、あのサービスは使えないとの噂が出てしまったこともあったと聞いていますが、そういう意味では当方の理解も含めてお互い改善すべき点が有るのではないでしょうか。事例と効果検証を蓄積してゆきたいと思います。
今後、日本の労働人口は大幅に目減りする観点から、益々人の獲得は難しくなるのは確実です。だからこそ時間当たりの労働生産性は重視してゆきたいと思います。そのためには、限られたマンパワーで行う営業活動も取捨選択が必要です。自社が得意な分野を明確にして特徴ある営業に特化傾斜させてゆくということです。そして次にやるべきは、バックヤードの徹底的な効率化・省力化です。この二つが相まって初めて労働生産性は引きあがると思います。
社員には明るく楽しく働いてもらいたいということが大前提にあります。そのためにも、限られた貴重な時間内で最大の効果を上げた社員を評価する指標がないといけません。今はまだまだ理想の範囲ですが、何年も取り組みを繰り返し続けてゆけばそのような風土が生まれると確信します。そうして、取扱高を上げるだけではなく、収益率の高い仕事にして、良い働きをしてくれた社員にしっかり報酬で報いるということが経営者の役目だと考えています。
百木田社長 会社の制度上、定年退職として一定の線は引かなければなりませんが、今の時代はみんな若いじゃないですか。力もやる気もまだまだあるノウハウある人たちは沢山いるので、弊社としてもその力は活用させていただきたいです。すでに実例がありますが、当社の社員だった方々がパケットシェアリングにご登録いただいて、間接的にでもそれらの方々の技能やノウハウを活用できれば、外注しても効能は得やすいと思います。もしかすると、社員が対応するよりも、そのような方々が対応していただく方が、作業時間もより早いかもしれませんよね。
百木田社長 二つあります。一つ目は自社内製化されている部分(パーツ)の外注化でこれが現在のパケットシェアリングです。もう一つは外部でノウハウある会社と連携協定をしてパートナーシップして事業を作り上げてゆくという、ある意味投資的な外注化です。異業種とのコラボレーションのようなことが旅行業界は遅れていると感じますので、今後弊社なりの方法論を構築してゆきたいと考えています。
百木田社長 そこには大いに考えがあります。先ずは、この業界で働きたいと考える人をいかに増やすかが重要です。旅行業は、仕事は楽しいしやりがいもある、しかし報酬が低い。他業界に較べて賃金が圧倒的に低い。これではいけないと思います。付加価値を高めお客様からもしっかり対価をいただき社員にも応分に分配してゆくことが、私たち業界の最大の課題です。旅行会社だけではなく。各地のガイドなども同様です。現在、国としてもアドベンチャートラベルなどを積極的に推進していますが、それぞれの地域に立脚して自然、文化、歴史、食などをしっかりご案内できるガイドさんが圧倒的に少ないのです。これも、プライドを持って活動できるその職のステータスがなければならないのです。これは、業界をあげて取り組むべき課題です。産業横断的に、観光業の生産性・報酬水準・職能ステータスを底上げして、業界の魅力を高めることが今こそ重要なのです。
コロナ以前の旅行商品は、薄利多売の時代が長く続きましたが、今はその時代ではありません。各社が、知恵を出してコーディネートやホスピタリティなど付加価値の高い商品を、自信をもって提供し堂々と対価を頂けばよいというのが持論です。今はまだまだ途上ですが。
百木田社長 今年「未来共創ラボ」を立ち上げました。社員から新規事業のアイディアを集め、外部のパートナー企業との共創で事業化に結びつけようとしています。社員には自分のアイディアで挑戦することの大切さを伝えてゆきたいと考えます。社員のアイディアによる成功をいくつかお話ししますが、教育旅行分野では、全国的にみると人口が減少する地域で生徒も減って修学旅行が実施にくい状況が発生しています。弊社では今までのやり方を見直し、今出来る新たな座組で提案を行い成功させています。これも社員の発案によるものです。どうやったらできるのかを考えて行けば、必ず解はあると思います。コロナ期間中、あらゆる旅行需要が蒸発してしまった際には、自社で出来ることは無いかと考え、自治体のワクチン接種を受託しましたが、あれも元々社員のアイディアです。
旅行会社にはハコモノ固定資産はないが、社員の持つホスピタリティとコーディネート力があります。その人間力を発揮して成長してゆきたいと思います。弊社は、社員一人一人自分がやりたいことができる会社です。自分で企画を作りお客様に直接提案することが自由にできます。これは、分業化し過ぎた体制ではなかなかできないことです。旅行業は、元々人を楽しませる商売なので、何をすればお客様が楽しんでいただけるかしっかり考え提案するのが本来の仕事なのです。なかなか時間に追われて考えることに時間が割けていないという課題を克服するためにも、ノンコアとされがちな業務も「提案・企画の重要パーツ」としてコア視し、信頼できる外部パートナーと協調して生産性を高めてゆきたいと思います。今後もパケットシェアリングに期待しています。